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大きな影響力を持つアクティビスト、コスモエネルギーホールディングスの事例をご紹介
Column

皆様お久しぶりです。
株式会社 Japan Asset Managementです!

皆様は「村上ファンド」をご存知でしょうか?
村上ファンドとは、元通商産業省官僚の村上世彰氏らが率いた投資ファンドの総称で、「もの言う株主(アクティビスト)」として有名になりました

一定数以上の株式を保有し、投資先企業の経営者に対して経営戦略などを提案することで、その価値を高めて最終的に利益を得ようとするのがアクティビストであり、経営者が気に入らなければ株式の売却という手段でもの言わず退出する株主とは対照的です。

現在、旧村上ファンドは様々な法人名に変わって活動を続けており、そのうちの一つが村上氏傘下のシティインデックスイレブンス(以下、シティ)です。今回は、シティの主要投資先であるコスモエネルギーホールディングス株式会社(以下、コスモ)を紹介します。シティなどの旧村上ファンド以外にも国内外のアクティビストたちが今、コスモに注目しています

[目次]
・コスモエネルギーHDが注目されている理由
・コスモエネルギーHDとシティの現況


コスモエネルギーHDが注目されている理由

旧村上ファンドは、まず累損(企業会計における期間純損失の累積額)が50億以上あるような赤字企業の株式を購入し、経営改善の提案など、株主価値の向上のためにその企業に対してアクティビズムを国内で展開し、最終的に累損とぶつけて無税でキャピタルゲインを得るといった特徴的な手法を使います。

シティなどが提出している大量保有報告書・変更報告書から判明している、村上世彰氏の主要投資先8社をポートフォリオとして見立てると、コスモが最大の投資先であることが分かります。村上氏がここまで大きなポジションを取った銘柄は過去にありません。

コスモエネルギーHDとシティの現況

2022年4月5日、シティが5.2%の株式を取得し、大量保有報告書を提出したことが、今回コスモが注目されるきっかけになりました(*5%以上株式を取得すると、大量保有報告を1週間以内に提出しなければならない)
2023年1月11日 コスモ側の20%以上の株式の取得は控えてほしいという要請に対して、シティは30%までの買い増しをおこなう意向を示しました。これに対してコスモは買収防衛策の導入を発表しました。

その後、シティは再生可能エネルギー事業の分社化(スピンオフ)と上場を提案しましたが、コスモはその議論・検討を拒否しました。同年3月23日、コスモは新たな中期経営計画で総還元性向(企業が株主に対して還元する利益の割合)を60%以上にすると発表しました。シティが株主還元を求める中、現行の50%からの引き上げとなりました。

そして4月20日、シティは再生可能エネルギー事業の上場の議論・検討を拒否されたことから、その議論を進めることを公約として掲げる社外取締役1名の選任を要求する株主提案をおこないました。
旧村上ファンドによる直近5件ほどの活動事例から、村上氏は業績の悪い企業を立て直すという公明正大な目標を誇示しながらも、結局は自らの持分をプレミアム価格で購入しているだけではないかという世論の傾きも出て来ていました。

しかし今回は、村上氏の指定する社外取締役の投入によってコスモの企業戦略を徐々に変えていこうという、長期での企業改革に取り組んでいるのではないかとの推察もできます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、コスモエネルギーホールディングスが注目を集めている理由について解説しました。
次回の株主総会でシティの株主提案(社外取締役の選出)が承認された場合、シティが社外取締役を通じてどのような内部アクションを起こして企業変革を進めていくかに注目が集まります。
今回取りあげた旧村上ファンドをはじめとするアクティビストと投資先企業の動向を追うことで、会社法や株主の分析などに生かすことができます。

この記事が、皆様の資産運用や企業分析のお役に立てば幸いです。

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